子供の病気Q&A

病気、お薬、医療機関に対する誤解のあれこれ  <<  子供の病気Q&A <<  HOME

病気、お薬、医療機関に対する誤解のあれこれ

患者さんは医療に対して様々な誤解をしているようです。
病気に対する誤解、お薬に対する誤解、医師・医療機関に対する誤解等、数多くあります。
これらの誤解が、治療のトラブルや医療不信のもとになり、かえって患者さんが良い医療を受けられなくなることがあります。
誤解を解き、医療に対する理解を深めていただき、それが患者さんにとってお得な医療につながることを願っています。

Q1 お薬を飲んだら病気はすぐ治る?

A1 
 
お薬には、病気の症状を和らげるタイプと、病気のもとを治すタイプとがあります。
解熱剤、鎮痛剤、鼻水止め、咳止め、吐気止め、下痢止めなどのお薬は、症状を和らげるものであり、病気のもとを治すものではありません。
薬のおかげで症状は和らぎ、一見治ってしまったように思えますが、病気の中身が治るためにはある程度の時間が必要です。
一方、抗生剤は病気のもと細菌をやっつけるお薬ですが、1回飲んであるいは1日飲んですっかり治ってしまうということは、まずありません。
2~3日飲み続けて効果が出てきますし、症状が改善しても、菌が残り、中身まで十分に治っていない事がしばしばあります。
お薬を飲むと症状は改善するかもしれませんが、中身が治っていないことが多いので、医師の指示をしっかり守ってください。

Q2 お薬を飲んだのに熱が下がらない?

A2
 
解熱剤について
 
解熱剤を使うと熱は下がりますが、病気のもとは治りませんので、効き目が切れるとまた熱が出てきます。
解熱剤を使ったのに熱が十分に下がらない、といったケースもしばしば経験します。
熱の勢いが解熱剤の効果を上回っているということですが、熱を下げてしまっては病気が治らないぞというサインかもしれません。
解熱効果が不十分でも元気が出て、水分が取れ、眠れるようであれば、有用であると考えます。
 
抗生剤について

解熱剤を使うと熱が下がるためか、抗生剤も飲めばすぐに熱が下がるものと思っている人がいます。
抗生剤は病気のもとである細菌を退治するお薬ですが、1回飲んで菌を全滅させることはできません。
2~5日飲んで初めて効果が現れるはずなので、1回飲んで熱が下がる、病気が治ってしまうことはまずありません。
つまり、お薬を飲んでもすぐに問題が解決しないことは良くあるのです。

Q3 熱が下がったから薬はやめた?

A3
 
発熱時には抗生剤がしばしば処方されます。
熱が下がったとたん病気が治ったと考え、抗生剤をやめてしまう人がいます。
 
熱はかぜや感染症の一つのサインに過ぎません。
熱が下がっても調子が悪く、まだ治っていないといった経験はお持ちでしょう。
熱が下がったのは病気が治り始めただけであり、まだ治療の手を抜いてよいわけではあません。
小さなお子さんですと、このあたりの評価はむずかしいと思われます。
中途半端な抗生剤の投与、指示と異なる投与(短期間、飲んだりやめたり)は、再発や耐性菌の危険性を高めます。
熱が下がっても、抗生剤をいつまで飲むかに関しては、医師の指示を守って下さい。

Q4 1日3回飲む抗生剤を2回しか飲んでいない?

A4
 
抗生剤の多くは1日3回で処方されますが、保育園、幼稚園の関係で昼を抜いてしまったり、早く寝てしまい夜が抜けたりすることがあります。
1日3回の抗生剤は、8時間ごとの投与で最大の効果をもたらします。
1回、2回の投与では、菌を退治するスピードが菌の増えるスピードに追いつかず、十分な効果を得られません。
そればかりか、中途半端な治療は、耐性菌という手ごわい菌を作るかもしれません。
1日2回あるいは1日1回投与の抗生剤もありますので、医師にご相談下さい。
ただし、ねらっている菌の種類や、重傷度により、3回投与の抗生剤をおすすめする場合もあります。
 
抗生剤の飲む回数は、指示を守ってください。

Q5 かぜの初期にお薬を飲むと重くならない?

A5
 
早めの×××等の宣伝のためか、かぜはお薬を早く飲んで早く治すと考えている人が多いようです。
市販薬は症状を一時的に和らげることはできますが、抗生剤のような病気のもとを治す成分は含まれていません。
 
かぜの7割から9割を占めるウイルス性のかぜでは、抗生剤は無効なことがほとんどです。(インフルエンザ、みずぼうそうは別)
特に、熱のわりに元気が良い場合には、早く抗生剤を飲んでも、飲まずに様子を見ても結果はあまり変わらないことが多いようです。
経過を丁寧に見てゆくことの方が重要です。
抗生剤の必要なタイプは、初めから重症感があったり、治りが悪かったり、日がたって重症化したり、特徴があります。
もちろん、ウイルス性のかぜでも症状を和らげるお薬は程度に応じて使いますが、かぜのもとを治すのは本人で、時間が解決します。
(解熱剤、鎮痛剤、咳止め、鼻水止め、吐気止め、下痢止めなど)
かぜの初期にお薬を飲んでも、なるようにしかならないものも多いのです。

Q6 鼻水が出たらすぐに受診する?

A6
 
赤ちゃんの鼻の粘膜は敏感で、温度変化があると粘膜保護のため水っぽいお鼻がジュワッと出てきます。
鼻水=かぜとはかぎりません。
また、かぜの時には、ばい菌やウイルスが鼻の中で繁殖しないように鼻水で流し出そうとします。
鼻水は防御反応のひとつです。
 
また、お鼻の薬は症状を和らげるものがほとんどで、病気のもとを治すものではありません。
症状がつらそうなら使いますが、かんだりふいたりしてすむお鼻は、必ずしもお薬ではありません。
鼻水のほかに症状がなく元気な場合は、しばらく様子を見てから受診を考えても遅くありません。
中耳炎を起こしやすいお子さんは例外です。

Q7 高熱が出たらすぐに病院にいかなければならない?

A7
 
熱の原因の多くはかぜ関連の感染症によるもので、お熱はかぜを治すために必要で出ます。
高熱のほかには重い症状がなく、水分が取れ、だっこしていると落ち着いているようなら、あわてなくても大丈夫。
受診していただいても出す薬がないかもしれないパターンです。
テレビのドラマのように、夜間の救急病院にあわてて行く必要はないでしょう。
 
熱の他に、嘔吐を繰り返す、水分が取れず尿が出ない、ぐったりして様子がおかしい、3ヶ月以下の赤ちゃんであるなどは、重い病気の可能性があります。
検査や治療のため、夜間救急の対象となります。
発熱で夜間の救急病院を受診するお子さんの9割が、翌日にかかりつけ医で十分という現状があります。
熱以外の症状をよく観察して、夜間救急が必要か判断します。

Q8 お薬を飲んだが治らないので他の病院を受診した?

A8
 
薬を飲んで治らないと病院を点々とする方がいますが、かなり損な場合があります。
医師は患者さんが受診しないでいると、患者さんが困っていても、「治ったから受診しない」と考えます。
病気には、初めに処方された薬でうまくいかないケースや、時間がたって処方が合わなくなってくるケースがたくさんあります。
悪化や、薬がきいてないと思う場合は、早めに再受診し、医師にアピールして下さい。
患者さんが困っていれば、医師は次の手を考えます。
 
治らないからといって他院にかかると、振り出しに戻って、初めと同じ処方になることが多く、時間の無駄になるかもしれません。
病院を移る場合は、少なくとも処方されていたお薬が何であるかわかるようにしておきましょう。
重症な病気や慢性の病気で、治療効果に納得できない場合は、医師に相談して他の病院の紹介を受けるのも一つの手です。
それまでの情報を紹介状にしてもらうことで、治療や検査の無駄をなくします。
インターネットの情報より、かかりつけ医に相談するほうが、有効な解決につながることが多いように思われます。

Q9 救急病院を受診したのにお薬が出ない?

A9
 
発熱で夜間に救急病院を受診したのにお薬も出してもらえなかった、と納得できない人が時々います。
かぜの中にはウイルス性のものが多く、この場合、病気のもとは自分で治さなければなりません。
お薬が出ないのは、受診の時点ではウイルス性のかぜによる発熱であり、抗生剤を飲む必要はないと判断されたからです。
 
ただし、病初期の診断がはずれることもあり、経過は丁寧に見てゆく必要はあります。
病気に対する指導や、経過観察、重症化を見逃さないためにも、翌日にはかかりつけ医を受診することが原則です。

Q10 夜、救急病院を受診したのに、お薬が1日分しか出なかった?

A10
 
夜間の救急病院で重要なことは、病気が重症か否かを判断することです。
重症でないと判断すると、1日分のお薬を処方され、お家に帰ることになります。
お薬1日分で病気が治ってしまうことはまずありませんので、翌日、かかりつけ医を受診することが大前提です。
 
夜間救急では、軽症の病気をじっくり見ている時間はありません。
今のところ重症ではないので、つづきはかかりつけ医に見てもらって下さいという意味です。
ご家族の中には、お金を出したのに、これでは不便で納得できないと考える人もいるようです。
夜間救急の本来の役割からすると、軽症な病気へのサービスは必要最小限となりますので、お間違いないように。
軽症な患者さんの対応におわれ、重症な患者さんを十分にみられなくなっては、夜間に救急をやっている意味がありませんので。

Q11 お薬が出ないのに医療費がかかる?

A11
 
診察の結果、お話だけ聞いていただき、お薬が処方されない場合があります。
これに対して、薬が出ないのになぜ料金がかかるのかというご質問がありました。
 
医療費の内訳は初診料、再診料、医学管理料(指導料など)、検査料、処置料、投薬料(処方料)などからなります。
処方料は全体のおよそ20%程度にすぎません。
つまり医療とは薬を処方することが第一ではないのです。
(3歳未満の乳幼児の場合、当院ではこれらすべてをまとめた包括料金になります)
医師は問診、診察、診断、重症度の判断、経過の予測、家での過ごし方のご指導、注意事項など様々のことを総合し、必要なことをお話をします。
このお話の部分がとても大切であり、お薬を飲むことより重要な場合もあります。
お薬だけ出してもらえばよいと考えている人には、余計な話、時間の無駄と思うかもしれませんが、質の良い医療のためには重要なお話です。
近ごろでは、インターネットや無料の情報誌などの発達で、情報=ただ と考えている人が増えているようです。
一般論でしたらお家で調べていただければよいことです。
医師は総合的な判断をして、今回あなたはどうしたらよいかをお話しします。
その上で、必要ならお薬を処方するのです。
つまり、必ずしも、医療=お薬、医療機関=薬屋さんではないのです。
必要なお薬、検査はおすすめしますが、不要なお薬の処方や不要な検査はできるだけ避けたいところです。