1.インフルエンザ
Q1 インフルエンザってどんな病気?
A1
インフルエンザはウイルス性のかぜの一種ですが、毎年多くのお年寄りが肺炎でなくなり、乳幼児では脳炎、脳症を起こすため、重症な病気としてかぜと区別して扱います。
インフルエンザの特徴は・・・
1 流行のピークが例年1~2月ころである。
2 家族や集団生活の中で次々とうつる。
3 突然の高熱ではじまる。
4 全身の倦怠感が強く、見た目に重症感が強い。
5 ふしぶしや筋肉の痛みをともない、熱は3~5日続き、解熱するころ咳が強くなる。
この特徴を無視すると、迅速診断キットや特効薬のありがたみも半減します。
Q2 夜、急に熱が出ました。
救急病院でインフルエンザの検査や特効薬の処方を受けるべきですか?
A2
必ずしも、発熱=インフルエンザではありません。
流行状況や接触の有無、症状をよく観察します。
突然の高熱ではじまる、1~2月である、インフルエンザの人との接触があった。
加えて重症感があれば夜間の救急病院を受診します。
ただ発病まもなくは検査をしても陰性になることが多く、診断に混乱を招くことがあります。
インフルエンザワクチンを接種していたり、熱のわりに元気な場合は、翌日の受診でもかまわないかと思われます。
Q3 高熱が出ました。インフルエンザの脳炎・脳症が心配です。
A3
乳幼児のインフルエンザの経過中に、嘔吐を繰り返す、意識障害、ひきつけを繰り返す場合には、脳炎、脳症が疑われ、早急な治療を要します。
発病第1~2日目に起こすことが多く、前兆として幻覚、幻聴、錯乱状態になることなどが、注目されています。
重大な合併症ですが、頻度は低く、必ずしも、インフルエンザ=脳症、高熱=脳症ではありません。落ち着いて熱以外の症状をよく観察します。
Q4 インフルエンザなのに診断キットが陽性に出ないことがあるってほんとうですか?
A4
近年、迅速診断キットが登場し、流行の始まりや終わりに診断の助けとなっています。
鼻やのどの分泌物を綿棒でぬぐい、15分程度の短時間でインフルエンザの診断がつきます。
症状はインフルエンザなのに診断キットが陰性になることがあります。
特に発病まもなくは検査をしても陰性になることが多く、診断に混乱を招くことがあります。
検査の頼りすぎには注意します。
Q5 診断キットで検査をしなければ特効薬(タミフル)を飲めないのですか?
A5
迅速診断キットは全例に行うわけではありません。
インフルエンザにかかっている人との接触や、症状、経過が典型的であれば、流行期間中の診断は容易です。
また発病まもなくは検査をしても陰性になることがあります。
こんな時は、医師と相談の上、タミフルを投与します。
Q6 インフルエンザのとき解熱剤を使うのは危険ですか?
A6
解熱剤の中に、インフルエンザとの相性が悪く、脳症をおこしやすくするものがあります。
商品名がいろいろありますから、医師に確認して使います。
アセトアミノフェン(カロナール、アンヒバ、アルピニーなど)が、現在使用可能とされています。
Q7 熱が下がったら、薬は中止してよいですか?保育園に行ってもいいですか?
A7
タミフルを内服すると、だいたい次の日には熱は下がり元気になります。
しかし、ウイルスの排泄は2~3日続き、まだ人にうつります。
また、再度発熱したり、後半に中耳炎や肺炎を合併することがよくある病気です。
医師の支持どうり、きちんとお薬を飲んでください。
無理をせず、休養を十分とり、医師に登園の判断をしてもらうほうがおすすめです。
Q8 特効薬があるので、ワクチンは不要ですか?
A8
1 ワクチン接種
2 予防の基本(流行時に人ごみを避ける、手洗いうがいをする、体の冷え込みを避ける、疲れを残さない
生活を心がける)
3 治るための基本はやはり本人の抵抗力です。無理は禁物。安静・保温と水分補給、部屋の加湿を
心がけます。
4 特効薬タミフルを発病48時間以内に内服開始する。
インフルエンザの脳炎・脳症は発病初日におきることがあり、これを防ぐにはワクチン接種がもっとも有効と考えられます。
ワクチン接種で重症化を防ぐなどの感染防止効果は、A型で70~80%、B型で40%程度とされています。
65歳以上のお年より、喘息などの慢性の呼吸器疾患を持つ患者さん、乳幼児(特に保育所、幼稚園に通うお子さん)、受験生に接種をおすすめします。
Q9 1才未満の赤ちゃんです。ワクチンをうっていませんが、他に予防はないのですか?
A9
予防接種も重要ですが、もっと基本的なことは、インフルエンザの人と会わなければ良いということです。
1~2月の流行時には人ごみを避け、外出は必要最小限とします。
お父さんや、兄弟が持ち込まないよう予防接種をしておくのも良い予防手段です。
家族が手洗いうがいをする、加湿をかけるなども有効です。
Q10 ワクチンをうっています。インフルエンザにかからないですみますか?
A10
重症化を防ぐなどの感染防止効果は、A型で70~80%、B型で40%程度とされていますが、その年によりききめにバラつきがあるようです。
ワクチンは予防の大きな手段ではありますが、すべてではありません。
予防接種も重要ですが、予防の基本は、流行時に人ごみを避ける、手洗いうがいをする、体の冷え込みを避ける、疲れを残さない生活を心がけることです。
Q11 子供はなぜ2回接種するのですか?1回ではだめですか?
A11
インフルエンザワクチンは不活化ワクチンと呼ばれ、子供は1回接種での感染防止効果は数%と、ほとんど効果を期待できません。
2回接種の後、2~3週間して初めて十分な効果を発揮します。
大人や13歳以上の学童は、過去に似たタイプのインフルエンザにかかっていることが多いため、1回接種でも免疫がつくと考えられています。