赤ちゃん学級Q&A(和光市保健センター)
その11 平成20年9月10日編
Q1 7月までに風を3回ひき、熱も出ました。
もう突発はないですか。
A1
突発性発疹とはウイルス性の感染症、かぜの一種です。
⇒子供の病気Q&A 突発性発疹 参照
赤ちゃんが初めて熱を出したときの原因になっていることが多いのですが、他のかぜが原因で熱を出すことは、いくらでもあります。
ウイルスが2種類いて2歳くらいまでに2度かかる子もいます。
かかっているのに症状がほとんど出ないで終わってしまう場合もあります。(不嫌性感染)
子供の頃にかからなかったという子は、この場合が多いようです。
お子さんの場合、これからかかる可能性は大きいのですが、怖い病気ではありませんので、あまり気にしません。
Q2 小児科に行くのか、専門の科に行くのか迷います。
(例えばかぜで耳鼻科?小児科?)
どういう基準で選べば良いですか?
A2
小児科と耳鼻科の患者さんは重複していることが多く、小さなお子さんも、よく耳鼻科を受診しています。
目安としては、鼻が出ているが元気な場合は、どちらでもかまわないでしょう。
緑色の汚い色の鼻が長びいたり、中耳炎を起こしやすい子は耳鼻科がおすすめ。
鼻のほか、熱、強い咳、一般状態が心配なら小児科がおすすめ。
小児科医が耳鼻科をすすめるケース、蓄膿症、痛みの強い中耳炎、発熱が長びいた時の中耳炎。
耳鼻科が小児科をすすめるケース、喘息を合併している場合、発熱が長びく場合、などもあります。
Q3 つかまり立ちをしようとして頭を床にぶつけてしまいます。
特に泣いたりはしないのですが、赤ちゃんの頭はやわらかいと聞くので心配です。脳とかに影響はないですか?
A3
打ち方、打ちどころによります。
3階から転落しても無事な赤ちゃんがいるかと思えば、診察台から落ちても頭の骨を骨折しているケースもあります。
まったく打ち所に左右されます。
打つ回数。
多ければ多いほどトラブルが起きるリスクが上がりますから、少ないほうが良いに決まっています。
打ち方。
硬いところに落ちる、角のあるものにぶつかる、勢い良く打つなどは危険なパターンです。
特に歩き始めの時期は、赤ちゃんの目線で家の中を見直し、危険な打ち方を避けていくことを意識します。
ひっくり返って転んで頭を打っても、危険性の少ない柔らかい床材。
家具の角を保護する等、ぶつかっても危険の少ない環境。
また、家の外では想定外の危険が多いことを意識して、目をはなさない。
赤ちゃんは高いところに寝かせば、必ず転がって落ちるのです。
とがった角があれば、必ずぶつかりに行きます。
意識をするか否かでだいぶ事故は防げます。
Q4 たおれて頭を打ってしまったあと、どんな症状を気をつけて見といた方がいいですか?
フローリングやたたみの上でたおれた場合、基本的には大丈夫なんでしょうか?
A4
頭を打ってすぐに気を失う、顔色が悪くなる、ぐったりするのは危険なサインで、救急になります。
2日~3日かけて、頭の中でジワジワ出血をおこすタイプもあります。
よく吐くようになる、うとうとして意識の様子がおかしい、ぐったりするなどの症状は、関連を考えます。
CTなどの検査ができて、救急対応ができる2次病院を、必ず受診します。
フローリングやたたみの上に倒れた程度では大丈夫なことが多いでしょう。
道路や硬い床面に勢いよくぶつかる、自転車に乗っていて転倒するなどは要注意です。
Q5 便秘について
何日位ウンチが出なくても、大丈夫なのでしょうか?
A5
1週間くらいためても平気でいる子もいます。
3日~4日して自力で排便できる場合は、あまり心配しません。
出ないと不機嫌になる、食欲が落ちる場合、便が硬くなって肛門が切れる場合は、対策が必要です。
マッサージや綿棒浣腸、夏場の十分な水分摂取、柑橘系の果物や、果汁などを試します。
てこずるようなら、かかりつけの先生に相談してください。
便を柔らかくする薬や下剤の処方、浣腸についての指導を受けます。
Q6 口の中がカンジダになってしまいました。
何が原因ですか?
あらゆるものをなめてしまうからですか?
支援センターにいって、いろんな人が使ったおもちゃなどなめてしまいます。
A6
がこうそう(鵞口瘡) のことと思われます。
母乳やミルクを飲んで、そのまま寝てしまった時などに、口の中にカビがはえて白くなります。
時々、抗生剤を飲んでいるときにも見かけます。
カビは身の回りにいくらでもあって、はえやすい場所にくっついて繁殖します。
赤ちゃんにはよくある病気ですが、重い病気ではありません。
哺乳後にさ湯を飲ませてすすいでおくだけでも予防できます。
口の中専用に使う、カビ用の抗生剤の軟膏があります。
自然に治りにくい子は、かかりつけ医に相談してください。
Q7 未だにおヘソが出ているのですが、大丈夫なのでしょうか・・・?
A7
臍ヘルニアのことですね。
へその緒は、赤ちゃんがお母さんのお腹にいるときに、血管などの通り道となっています。
腹筋に出入りの裂け目がありますが、普通は生後間もなくに自然に閉じます。
閉じるのがおくれて、そこから腸が出るため、おへその皮膚が盛り上がる状態のことを、臍ヘルニアといいます。
一時的に、驚くほど飛び出てくることもありますが、多くの場合1歳ころまでには自然に引っ込んでしまいます。
何かをのせて圧迫してかまいませんが、効果的かどうかは、いろいろ意見の分かれているところです。
まれに1歳過ぎても治らず、手術になってしまうケースがあります。
とりあえず、1歳まで経過を見ます。
Q8 夏の暑い日、尿の量が少なくなるが、オムツに濃い尿の中心あたりが
赤っぽくなっていたことが今までに2回ほど。これは出血?
A8
夏などに尿が濃くなると、尿中の成分が結晶を作り、オレンジ色の粉がオムツに付くことはよくあり、相談を受けます。
検査をしても出血でないことがほとんどで、心配なものではありません。
繰り返したり、程度が強くなって心配な場合は、かかりつけの先生にご相談下さい。
Q9 尿路感染症で7日間点滴し、10日目に退院しました。
今は薬を飲んでいますが、他に何か気をつける事はありますか?
病院の先生には、水分は今までどうりで良いと言われましたが、
本には「水分補給を」と書いてありました。
完全母乳で、うすい麦茶や赤ちゃん用ポカリ、ミルクをあげても10ml以上は飲みません。
うまく飲ませる方法はありますか?
又、飲まなくて母乳だけで水分補給は大丈夫でしょうか?
A9
腎臓や尿路系に問題があり(膀胱尿管逆流現象)、抗生剤を飲み続けることがあります。
この場合は治療中なので、極端な水分補給は不要で、不足しなければ良いでしょう。
膀胱炎の場合であれば、一般に、予防のため水分摂取で排尿を促し、ばい菌を洗い流します。
お子さんの場合とは別のような気がしますが。
母乳だけでも水分補給はできます。
麦茶、赤ちゃん用イオン飲料、ミルクを嫌う子は時々います。
病気のときなどの脱水予防に、赤ちゃん用のイオン飲料がおすすめで、飲んでくれると楽なことはあります。
Q10 離乳食やミルクのときに、時々、オエッと吐き気のような感じになります。
その後吐くこともあります。
続くようなら病院へ行った方がよいでしょうか?
A10
お腹のかぜなどで吐く場合は、2日~3日と短期間で長びかないのが普通です。
月単位で続く場合は、病気と関係ないかもしれません。
上手に嚥下できなくて、むせていることも考えられます。
程度が強い場合、心配な場合は、かかりつけの先生に相談してください。
Q11 授乳中に10~20秒ほど、子供の頭がカクカクとけいれんして、そのまま寝てしまいました。
何かもんだいがあるのでしょうか。
それきり、けいれんはありません。
A11
てんかんの一種で、てんとうてんかんなどが心配されますが、1回だけで終わることはないと思います。
もう1度同じことがあったら、かかりつけの先生に相談し、小児神経の専門医を紹介してもらいます。
ひきつけをおこすと、意識レベルが低下します。
白目をむいたり、おこしても起きない場合は、ひきつけを考えます。
Q12 泣いたり、いきんだりすると、おでこに赤い発疹のようなものが出てきます。
時間が経つとあとかたもなく消えます。
何か病気でしょうか?
A12
血管腫が疑われます。
毛細血管が多く集まっている状態です。
体が温まったり、泣いたりしたときに、血行が良くなって、赤く目立ちます。
見た目だけの問題であるため、ほおっておきますが、皮膚科受診などの機会があった場合に相談してみてください。
あせも湿疹も、体が温まると目立ちますが、心配なものではありません。
Q13 今回も、病院を利用する時の基本的なお話をしました
病院の種類と役割、上手な利用の仕方などは、一般に教えてもらう機会がありません。
そのため、患者側にとっては無駄な受診が生じ、医療機関としては仕事が大変になり、トラブルのもとになっているようです。
そこで赤ちゃん学級の場を借り、病院や医療に関する基本的なお話をすることにしました。
A13
①病院の種類と役割
病院は役割に応じて大きく2つに分類されます。
1 診療所やクリニックのいわゆるかかりつけ医
2 総合病院や大学病院、小児専門病院
診療所やクリニックでは、かぜなどの日常的な病気を中心にみますが、もう一つの大切な役割は、重症疾患を区別して総合病院、大学病院に紹介することです。
かかりつけ医は、熱の出始めやかぜなどを診療するプロです。
基本的に重症を見るわけではないので、夜遅くまで診療はしません。
お昼休みは診療しませんし、予防接種の専用の時間帯などがあり、突然行っても診てもらえないことがあります。
総合病院や大学病院、小児専門病院では、紹介された重症患者さんの診断、治療を行います。
24時間体制で、専門性の高い疾患を中心に、高度な医療を行います。
夜間には当直医がいますが、本来の役割は、入院患者と重症な救急患者の診療です。
重症患者で忙しいため、熱やかぜなどで受診をしても期待したほどの医療は受けられません。
お薬は1日分、翌日にかかりつけを受診するよう言われます。
夜間の発熱で救急病院を受診する子供のうち、およそ9割は一晩様子を見て、翌日にかかりつけ医を受診しても十分間に合うと言われています。
今日お話したように、熱だけで緊急のケースはまれですから、病院を上手に使分けて下さい。
(⇒和光市保健センター赤ちゃん学級講義資料参照)
近年、小児科医や夜間救急が少なくて問題になっていますが、今ある病院や診療所を上手に利用するだけで、多くの問題が解決します。
②救急車の利用方法について
近年では、救急車の半数が軽症患者で出動するため、重症患者への対応が遅れ、死亡するケースも出ています。
救急車を呼ぶのは命の危険があるときです
ひきつけが5分以上続く
呼吸困難で顔色が悪い(誤飲・重症喘息発作など)
出血が止まらない
頭を強く打って意識の様子がおかしい
お風呂でおぼれる
救急車は不要と思われるケース
発熱(熱が40度出ても、熱以外に重い症状がない場合)
ひきつけたが、2~3分で止まり、意識がもどっている場合
吐くまでが辛そうだったが、吐いた後すっきりしている場合
なだめると我慢できるおなかの痛みや頭痛
中耳炎の耳の痛み
#8000の電話相談もうまく利用してください
和光市保健センター赤ちゃん学級
- 赤ちゃん学級 その30(6)
- 赤ちゃん学級 その29(11)
- 赤ちゃん学級 その28(8)
- 赤ちゃん学級 その27(10)
- 赤ちゃん学級 その26(15)
- 赤ちゃん学級 その25(25)
- 赤ちゃん学級 その24(26)
- 赤ちゃん学級 その23(12)
- 赤ちゃん学級 その22(16)
- 赤ちゃん学級 その21(19)
- 赤ちゃん学級 その20(14)
- 赤ちゃん学級 その19(16)
- 赤ちゃん学級 その18(14)
- 赤ちゃん学級 その17(13)
- 赤ちゃん学級 その16(17)
- 赤ちゃん学級 その15(23)
- 赤ちゃん学級 その14(9)
- 赤ちゃん学級 その13(10)
- 赤ちゃん学級 その12(12)
- 赤ちゃん学級 その11(13)
- 赤ちゃん学級 その10(9)
- 赤ちゃん学級 その09(9)
- 赤ちゃん学級 その08(13)
- 赤ちゃん学級 その07(11)
- 赤ちゃん学級 その06(6)
- 赤ちゃん学級 その05(13)
- 赤ちゃん学級 その04(11)
- 赤ちゃん学級 その03(9)
- 赤ちゃん学級 その02(12)
- 赤ちゃん学級 その01(19)