赤ちゃん学級Q&A(和光市保健センター)
その16 平成21年12月9日編
Q1 インフルエンザで自宅療養中、寝ている時に、意識がなくなってないか心配だが、寝ている間にも、意識消失してないかチェックする方法はあるか?
A1
インフルエンザ脳症をおこす場合、前兆として、何度も吐く、意識の様子がおかしい、異常行動が見られます。
異常行動は一時的であれば様子をみますが、30分以上続く場合は病院を受診します。
寝る前までに、このような症状がなければ、あまり神経質にはなりません。
一緒に寝ていれば、ひきつけや異常には気付くものです。
脳症は恐ろしい病気ですが、頻度は非常に低く、熱が高いだけで起こすものではありません。
★★★ 新型インフルエンザについてお話しました。
夏から流行が続いている新型インフルエンザは、基本的な考え方や対処方法は、季節性のものと同じです。月日が経ち、いくつかの特徴がわかってきました。
Q2 新型インフルエンザは、みんなかかってしまう恐い病気?
A2
かかった人がいないので、誰も免疫を持たず、とてもうつりやすいものと当初考えられていました。
しかしながら、全員が発症しているわけではないようです。
軽症なケースがかなりあり、かかったことに気付かないことが、しばしばあるようです。
平成21年12月の時点で、国民の約10%がかかったとの報道があります。
軽症例は診断がつかず、ほんとうはすでに倍くらいの人がかかっているかもしれません。
重症例がよく報道され、新型は恐ろしいイメージがありますが、医療現場で感じることは軽症例が多いことです。
Q3 インフルエンザと診断されたのですが、新型でいいのでしょうか?
A3
12月現在、季節性のインフルエンザの流行はほとんどなく、検査でA型なら新型ということになります。
1月になると季節性のものとの区別が難しくなるかもしれません。
新型と比べ、例年の季節性インフルエンザの方が、重く、長びき、タミフルの効果が劣るような印象があります。
Q4 インフルエンザにかかったと思ったのですが、簡易検査は陰性でした。大丈夫ですか?
A4
簡易検査は発症12時間以内では、もともと季節性でも半分くらいしか陽性になりません。
新型ではさらに検出率が悪い印象があります。
軽症例では、ウイルス量が少ないせいか、陽性と出ないケースが多いように感じます。
家族や、集団生活など、身のまわりでインフルエンザ患者との接触があった場合、検査より情報の方があてになるようです。
Q5 タミフルは効くの?
A5
自分のよだれでむせたり、乾燥が原因のこともあります。
喘息の軽いタイプで夜間のみ咳が出る場合があります。
長びいて深い咳をする場合は、かぜや気管支炎なども考えます。
大人から、百日咳や結核をうつされている場合もあります。
程度が強い場合、繰り返す場合、長びく場合、悪化している場合は、診断が大切で、かかりつけ医に相談します。
Q6 解熱したらすぐに登校・登園できるの?
A6
出席停止期間については、解熱後2日となっていますが、治療で翌日解熱したケースでは、2日間は短すぎると思われます。
タミフルやリレンザはインフルエンザの増殖を抑える効果しかありません。
ウイルスが消えていなくなり、うつる恐れがなくなるには、最低5日間くらいは必要と思われます。
また、粘膜に強いダメージを与える病気なので、後半に細菌の混合感染をおこすこともあり、十分休むことは重要です。
Q7 喘息の子はみんな入院するの?
A7
インフルエンザは咳の強い病気です。
季節性の場合、解熱後に咳が強くなることがしばしばあります。
それに対し、新型では病初期より、咳が目立つケースがしばしばあります。
喘息のお子さんがかかると、重症になると報道されていますが、一部誤解を招いているように思われます。
喘息のお子さんがインフルエンザにかかると、みな重症になるわけではありません。
軽症なお子さんもたくさんいます。
呼吸状態が悪くなる可能性があるので注意が必要なのであり、咳も強くないのに重症を心配するのは不自然です。
Q8 新型インフルエンザワクチンについて
A8
ワクチンの供給される数がまだ少ないのに、国の対応や報道のために、医療機関も患者さんも大混乱しています。
乳幼児、小学生は2回接種が基本です。
1回の接種では十分な免疫がつかず、2回接種後2週間たってやっと効果を発揮します。
間に合わなくなるケースも多いのではないかと思われますが、大切な予防手段に変わりありません。
季節性ワクチンと同様な作りのため、効果や副反応もほぼ同様と考えます。
1回の接種では、大人は70%くらいの効果を期待されますが、子供は数%とされます。
1回うてたからと、気を抜いてはいけません。
Q9 1才未満の赤ちゃんはどうなるの?
A9
新型インフルエンザでは重症化を警戒しています。
タミフルの投与は、季節性インフルエンザの場合、慎重にとなっています。
しかしながら、新型では投与した方が良いのではないかと言う意見があります。
副作用を警戒するより、重症化を避ける方が大切なのでは、ということです。
かかったときには、医師とよく相談してください。
1才以下の赤ちゃんは、ワクチンの効果が十分期待されないため接種を勧めていません。
両親や兄弟がワクチンを受け、家に持ち込まない努力の方をお勧めします。
また、流行期に集団の中で感染を受けますので、外出は最小限にすることをお勧めします。
うつる所へ行ったり、うつす人と接触しなければかかりませので。
Q10 母乳で育てています。
親が風邪をひいた時、市販の薬はあまり良くないと聞いています。
病院に行って処方してもらったほうがいいですか。
A10
お母さんが飲んだ薬が、母乳に出てくる量は、あまり多くはないと思われます。
抗がん剤などの特殊なお薬をのぞいて、禁止されているものはあまり多くないと思われます。
ただ、市販の風邪薬で、病気のもとを治す薬はほとんどありません。
症状を一時的に抑える作用しかありません。
つらい場合は仕方がないのですが、早く治そうとして飲んでも、効果は疑問です。
赤ちゃんへの影響が心配な場合には、本当に飲む必要があるか考えてみてください。
大人の風邪の多くは、本人の力で治せるものが多く、病院の処方も症状を抑える薬が中心です。
病初期から絶対に必要なお薬はそれほどないと思われます。
ただし、3日から5日たって悪化するもの、治りの悪いタイプでは、注意します。
抗生剤など、病気のもとを治す薬が必要になってくるからです。
お母さんがたおれては困るので、優先順を良く考えてください。
Q11 ミルク以外飲まないが何か飲ませたほうがいいですか?
A11
病気のとき、脱水をおこしかけているときなど、赤ちゃん用のイオン飲料が飲めると便利です。
また、入浴後、白湯や麦茶で水分を補うことができればそのほうが良いかもしれません。
ただ、元気なときには、ミルクを飲んでいれば十分で、問題が起こることはまずないと思われます。
Q12 アレルギー用のミルクを飲ませているが他のミルクに代えても大丈夫ですか?
A12
大丈夫かどうかは、なぜ、アレルギー用のミルクを飲ませるようになったか、理由が大切です。
アレルギーがあって飲ませることになったなら、医師に相談することが必要です。
お母さんの判断で飲ませ始めた場合には、代えてみてもかまわないと思います。
代えて何か心配事が起きたら、医師に相談してください。
Q13 7ヶ月でお座りできないが、練習等させた方がいいですか?
A13
普通のお子さんの場合は、発達に個人差こそあれ、練習しなくても勝手にできるようになります。
お座り以外の発達に問題のない場合は、待っていると間もなくできるようになることが多いと思われます。
発達の遅れが心配の場合には、近くの小児科で発達を評価してもらうと良いでしょう。
少し待つことになりますが、市の10ヶ月健診でも評価できます。
Q14 うんこが5日間出ません。
どれくらいになったら病院へ行ったほうがいいですか?
A14
赤ちゃんの便の回数は個人差があります。
一般に母乳の子はゆるくて回数が多く、1日に何度も便が出ます。
ミルクの子は便は硬めで、2~3日に1回という子もいます。
自力で排便できる場合は、あまり気にしません。
7日くらいまではためる事ができるようです。
便が硬すぎて出にくくなる場合や、便がたまって不機嫌になったり、食欲が落ちる場合は、治療の対象となります。
便秘の程度により、便を柔らかくする薬や、下剤、浣腸などを使います。
水分を十分に取らせる、果汁や果物、野菜などの繊維を離乳食に取り入れて、便を柔らかくすることが基本になります。
Q15 年末年始に山奥のいなかへ始めて旅行をします。
近くに病院もなく心配しています。
念のため持っていった方がよいものはありますか?
A15
解熱剤くらいかと思われます。
病気になった場合に、自分たちの都合で問題を解決しようとすることの方が、危険な場合ががあります。
やはり、どこにかかるか決めておく方がおすすめです。
往々にして、病気は親の都合どうりになってくれません。
Q16 肌がカサカサしていて薬をもらったのですがなかなか治りません。
私自身がアトピーだった事もありアトピーではないかと心配なのですが、アトピーと乾燥肌の違いは何ですか?
A16
薬を処方されてなかなか治らない時、基本的なことは、もう一度受診して相談してみることです。
一度受診したきりで来なくなると、医師は治ったか困っていないと判断します。
すぐに他の病院に変えてしまうと、また同じ治療から始まることがしばしばで、結局遠回りになることがあります。
再診して相談すれば、医師は次のステップを考えてくれるはずです。
名医を探すより、まず、かかりつけ医に上手にかかることのほうが、良い医療への近道です。
保湿剤が処方されているものと思われますが、保湿剤は、入浴後、1分2分の直後に塗るのがコツです。
アトピーはアレルギーの遺伝子が原因ですので、親から遺伝している可能性は高くなります。
遺伝子の病気ですから、完全に治すのは難しいので、うまく付き合ってゆくことが大切で、指導が重要になります。
軽症のアトピーは乾燥肌との区別が難しく、診断はやはり皮膚科になります。
Q17 以前夜に2~3回ゲボッとけっこうな量を吐いてしばらく放心状態でボーッとしていてすごく心配したのですが、離乳食の量をへらした方が良いですか?
A17
体が受け付けないものを食べたか、おなかのかぜなどが考えられます。
いずれにしても、吐いている時には、食事は与えず、おなかを空にして休め、しばらく様子をみるのが基本です。
しばらくして落ち着いたら、少量の水分を与えてみます。
もどしたり、おなかを痛がる様子がないか確認できたなら、固形物を少量ずつ与えてゆきます。
おなかを空にしても、なお、吐き続ける場合は、病院を受診します。
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