赤ちゃん学級Q&A(和光市保健センター)
その21 平成23年4月13日編
Q1 ポリオの生ワクチンが不安です。(平成23年4月13日)
Q2 ポリオワクチンは生ワクチンと聞いています。
和光だとうけられる場所、費用等を教えて欲しいです。(平成23年4月13日)
Q3 予防接種(ポリオ)を不活化にするか検討しています。
見解を教えてください。(平成23年4月13日)
Q4 ワクチンについてポリオを不活化で打とうと思っています。
いろんな先生の意見を聞いてみたいと思いますが、先生はいかがお考えでしょうか?(平成23年4月13日)
A1・2・3・4
■最近、マスコミなどでポリオワクチン(生ワクチン)の副反応のことがよく取り上げられています。怖いので受けさせたくないのですが良いのでしょうか?
マスコミ報道を見ていると、ポリオの生ワクチンはマヒをおこす怖いワクチンで、健康被害がたくさん発生しているかのような印象を強く持ってしまいます。
実際は、ポリオ生ワクチンの投与後にマヒをおこすケースは、440万回に1回とされ、このところ年間に1例ほどの割合で報告されており、これを多いと見るかどうかです。
わが国では、昭和35年にポリオが大流行し、6500人が小児マヒをおこしました。
小児マヒは、手足にマヒをおこし、一生治らないこともある病気です。
生ワクチンの導入で発症は急速に減少し、現在は年間発症例が毎年0で経過しています。
世界的にはまだ撲滅されていない病気なので、流行がないから接種しないで良い、と言う考え方はおすすめできません。
■生後5ヶ月の乳児です。ポリオは副反応のない不活化ワクチンを接種すべきでしょうか?
生ワクチンは、公費(無料)で、経口投与2回により、消化管内で強い免疫がつきます。
不活化ワクチンは、自費(1回5,000円~1万円)で、筋肉注射4回(3回+追加)の接種が必要です。
生ワクチンに比べ効力が短い、弱いと言った報告もあります。
マスコミ報道やネットの情報を見ていると、あたかも不活化ワクチンが常識のように思えてきますが、実際には、現在ポリオの不活化ワクチンを扱っている施設は、国内でわずかに80ヵ所、埼玉県内では2ヵ所にとどまっています。
取り扱う施設の数が少ないので、皆さんの思い通りに接種して行くのは難しいかもしれません。
生ワクチンの効果は絶大で、流行を抑える場合に適したワクチンですが、病気の制圧後は、ワクチン自体の副反応が問題となるため、多くの先進国では不活化ワクチンへ切り替えています。
不活化ワクチンの定期接種化が望まれますが、接種に望ましい月齢がありますので、現実には今シーズンも生ワクチンを接種する人が多くなるでしょう。
■不活化ワクチンをうってくれる病院が少なくて困っています。なぜうたないのですか?
不活化ワクチンを扱わない理由として、
①今ある定期接種の生ワクチンは十分効果をあげている
②個人で海外から輸入するワクチンである
③国が輸入しているわけではないので、何か起きても自己責任になる
④定期接種ではないため、健康被害(重い副反応)に対する保証が不十分である
⑤4種混合など、3種混合+不活化ポリオの国産開発ワクチンの登場を待っているなどがあります。
現在、接種できるワクチンの種類が、新たにいくつも増えています。
現場では、問合せへの対応も含め、仕事量が増えたり煩雑になっているのが実情です。
肝心の日常診療への負担が増えることは、医療ミスにもつながります。
医療機関はワクチン屋さんではないので、簡単に皆さんのリクエストや都合に合わせられないことがあります。
ご理解下さい。
Q5 また、平成23年3月に、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンが、一時接種見合せとなりました。
この件に関しても、問い合わせが多いため、今回お話しました。(平成23年4月13日)
ヒブと肺炎球菌の同時接種の後で、死亡例の報道がありました。
一時見合わせの後、再開されましたが、大丈夫でしょうか?
A5
ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンへの不安Q&A
■ワクチン接種後に死亡事例が出て、とても心配です。ほんとうに安全なのですか?
今回の報告は、接種と死亡との間に関係があるかないかを検討する前に発表されました。
接種の後に起きたことは、みな報告すると言うのが理由だからです。
その後の調査で、ワクチンや同時接種と死亡との間に、明らかな関係はなかったという結論になりました。
ワクチン接種とは無関係に、突然死や持病などで死亡する乳児は、現代でも毎年1000人以上おり、このようなケースが紛れ込んでしまったと考えられます。
一時期に複数例が報告されたのは、助成が始まり、突然、一斉に接種する人数が何倍にも増えたことも関係しているようです。
現在世界100カ国以上で導入され、発売からすでに10年以上が経過し、効果と安全性が確立しているワクチンです。
日本人は不安になると物事の本質を忘れがちです。
ワクチンが合わない体質の子は、まれですが必ず出てきますし、注意して接種して行くことは基本ですが、接種しないでいたために起こる危険の大きさを忘れてはいけません。
■前回の接種から間隔がずいぶん開いてしまいました。どうしたらよいか、心配です。
心配いりません。
接種を再開した時点で追いつきます。
決められた回数を接種すれば、免疫の効果は同じです。
1回目から接種しなおす必要はありません。
■同時接種で問題が起きたように報道されましたが、同時接種してよいか心配です。
これまでの国内国外の調査では、三種混合ワクチンとヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンとの同時接種で、重い副反応が起こりやすくなるという報告はありません。
同時接種は、早く免疫をつけ、受診の回数を少なくするために行なわれます。
3つのワクチンを全部バラバラに接種する方法はありますが、最大12回の受診が必要になります。
接種に必要な間隔を開けたり、体調を崩したり、ポリオやBCGも接種するとなると、現実問題、家族、子供、医療機関への負担は大きく、終了までにずいぶんと時間がかかってしまいます。
ちなみに、三種混合は3種類を混ぜたワクチンを一度に接種しているのですが、単独のワクチンと比べて問題は出ていません。
Q6 予防接種ははれるのか?(平成23年4月13日)
A6
ワクチンには良く免疫がつくようにまぜ物がしてあったり、保存剤などが含まれています。
そのせいで接種したところが腫れることがあります。
個人差はありますが、三種混合や小児用肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチンなどで腫れることが多いようです。
接種後2日~3日でピークをむかえ、1週間くらいで消えて行きます。
あまり心配はありませんが、お子さんによっては、腕の太さが変わるほど腫れることがあります。
その場合は、接種した先生にご相談ください。
Q7 熱性けいれんは遺伝性があるとききました。(私が熱性けいれんをおこしたことがあります。)
本当ですか?(平成23年4月13日)
A7
両親ともに熱性けいれんがあった場合は40~80%の確立で、片親のみの場合は20~30%の確立で、両親とも起こしたことがない場合は20%の確立で、起こすと報告されています。
発熱のたびに起きるものではありませんし、後遺症も残さないので、あまり心配されない方が良いでしょう。
追加解説 熱性けいれんの特徴
発病年令が、生後6ヵ月~6才(主には3才位まで)。
起きても全部で2~3回にとどまる。
発熱を伴う。
持続時間が15分以内で、多くは2~3分で止まる
ひきつけ前の状態がそれほど悪くなく、突然ひきつけをおこす。
終わると泣いたりして、すみやかに意識が戻ったことが確認できることが多い。
Q8 頭部は熱いけれど計ると熱はないのは心配ないですか?(平成23年4月13日)
A8
後頭部から首にかけては、比較的熱が高めの部位です。
また、頭は毛皮をかぶっているようなものですから、新陳代謝が活発な乳児では、熱がこもりやすい部位です。
いつもと変わりなく元気で、体温が平熱の範囲であれば、心配いりません。
Q9 1~1.5週くらいせきやくしゃみが続いています。
受診のタイミングは?(平成23年4月13日)
A9
咳の続く病気の代表は、かぜ、気管支炎、肺炎などの感染症です。
感染症であれば、咳は1日中出て、だんだん悪化するはずです。
他のかぜ症状、発熱、鼻水、調子の悪さをともなうでしょう。
治療あるいは自然の経過で、1~2週間で改善し、治癒していきます。
長びく咳、繰り返す咳、昼は出ないのに夜や朝だけでる咳は、喘息予備軍の場合があります。
よだれにむせる事もあります。
大人でも2週間以上続く咳は、診断や治療の対象になります。
程度が軽ければ様子をみますが、強い場合は早めに、長びく場合は診断のために受診を考えます。
乳幼児のくしゃみに重い病気はなく、必要で出ますので、心配はありません。
Q10 母乳のみのため、うんちが常にゆるいです。
下痢との見きわめ方は?(平成23年4月13日)
A10
一般的に母乳栄養の赤ちゃんは、便がゆるく、回数が多くなります。
個人差はあり、1日1回から5、6回の子までいろいろです。
下痢の目安は、回数がいつもの倍になったり、いつもより水っぽくなった場合と考えてください。
不機嫌、食欲がない、吐く、熱がある場合には、下痢を伴う病気を疑います。
機嫌が良く、母乳を良く飲んでいる場合は、多少下痢気味でも心配ありません。
Q11 便秘の時どうすれば良いですか?(平成23年4月13日)
A11
母乳のお子さんは便がゆるく、離乳食が進むと、水分を取る量も少なくなり、便が硬くなるこ水分として柑橘系の果汁などを取ることもよいでしょう。
市販では、便を柔らかくするマルツエキスがあります。
治療薬として、便を柔らかくするお薬はあります。
下剤を処方する場合もあります。
かかりつけ医に相談して指導してもらうとよいでしょう。
便が硬すぎて出にくくなる場合や、便がたまって不機嫌になったり、食欲が落ちる場合は、治療の対象となります。
便が堅くて自力で出しにくい場合、肛門が切れて出血するような場合は、積極的に対応します。
しばしば硬い便がつまって出てこないような場合には、浣腸を毎日続ける治療法もあります。
このように手ごわい場合は、小児外科が専門になるので紹介してもらう方法もあります。
Q12 耳そうじについて。
耳垢が見えているのですが、こわくてとれません。
耳鼻科でそうじしてもらった方がよいのでしょうか?
放っておいてもいいのでしょうか?(平成23年4月13日)
Q13 耳かきはいつ頃からした方が良いのか?(平成23年4月13日)
A12・13
入浴後に綿棒などで汚れをふき取り、お掃除しておくレベルで良いかと思われます。
耳垢がたまって、耳の穴をふさぐほどになると、取ってあげたくなります。
お子さんが暴れると危険な処置ですので、耳鼻科さんに頼む方が良いでしょう。
完全に詰まってしまった状態でなければ、耳の聞こえにはあまり影響ないかと思われます。
放っておくと、固まってコロッとはがれ出てくることもあります。
Q14 片方の耳だけよくかいています。
キズだらけになるまで力まかせにかくのですが、何か原因があるのでしょうか。(平成23年4月13日)
A14
耳に髪の毛がかかって痒くなる場合があります。
髪の毛で通気が悪くなって、湿疹が出来やすくなる場合もあります。
髪の毛を切るなどして、耳にかからないようにしてみて下さい。
それ以前に、湿疹が出来やすいお子さんの場合もあります。
耳切れなどを繰り返し、アトピーが疑われるお子さんもいます。
かきこわす場合は治療の対象で、かかりつけの医師に相談してみてください。
Q15 6ヵ月後半からつかまり立ちをしようとします。
まだ早すぎると思うのですが、やめさせた方が良いのでしょうか?(平成23年4月13日)
A15
つかまり立ちは、8ヶ月から10ヶ月くらいが平均的です。
おすわりやハイハイを経て、筋肉や運動能力が発達してから、つかまり立ちに進むのが自然です。
従って、早すぎるのは、無理をしている場合があります。
本人が自ら立つのは放っておいてかまいませんが、みんなで喜んで調子に乗らせない方が良いかと思われます。
また、同じ理由で、歩行器もお勧めしません。
赤ちゃんは必ずしも早いのが偉いわけではありません。
多少遅くとも、みんなの後を追うように発達して行けば、心配ありません。
Q16 夜間頻回に起きても成長に問題はありませんか?(平成23年4月13日)
次のようにお答えしました
A16
夜鳴きの部類ではないかと思われます。
生後半年から1歳にかけては、多かれ少なかれ夜鳴きの目立つ時期になります。
成長過程のものですし、一時的なものです。
しばらくは様子を見ても、問題ないかと思われます。
Q17 舌をよくかむが大丈夫か?(平成23年4月13日)
A17
歯が生えている子であれば、舌を噛んだ状態で倒れた時に、強くあごを打って舌を傷つけることはあります。
自分から傷つくほど舌を噛むことは、痛いのであまりないはずです。
しばらく様子を見てください。
歯が生えてくるので気になっているのかもしれません。
Q18 子供が喜ぶので、父親が高い高いを何度もしています。
ゆさぶられっ子症候群が心配です。(平成23年4月13日)
A18
赤ちゃんの首が前後に激しく揺れて、ガクンガクンしていると、頚椎のところで神経が損傷を受けます。
「すると喜ぶ」は、やがて「しないと怒る」に変わります。
だんだんエスカレートすると、問題が起こりそうですので、ほどほどに。
Q19 お腹の皮膚がカサカサしています。
ベビーローションを塗っていますが、それで良いでしょうか?(平成23年4月13日)
A19
肌がカサカサして痒くなる場合は、保湿効果のある塗り薬で、スキンケアをします。
薬によって合う合わないがありますが、うまくいっているなら問題ないでしょう。
和光市保健センター赤ちゃん学級
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