赤ちゃん学級Q&A(和光市保健センター)
その22 平成23年9月7日編
Q1 不活化ポリオについて。
ネットを見ていると、注射+生 という考えと、注射のみで大丈夫というのを見ました。
保育園に入れるので、注射のみでいいのか心配。
A1
ポリオワクチンは生ワクチン+不活化ワクチンの組合わせのうち、免疫が十分につかないパターンもあります。
ポリオの不活化ワクチンの扱いについては、まだ十分に知らない医師が多いものと思われます。
生ワクチンは生ワクチンだけで、不活化ワクチンは不活化ワクチンだけで接種を進める方が確実です。
→赤ちゃん学級Q&A その21 も参照してください
Q2 S51年生まれです。
ポリオは親も受けるべきでしょうか。
それとも、気をつければ大丈夫でしょうか。
A2
赤ちゃんはポリオを経口接種すると、2週間くらいから便に多量のウイルスを排泄するようになります。
排泄は1か月から2か月にわたり続き、ここから感染を受けるケースがあります。
昭和50年・51年・52年生まれの世代は、ポリオの免疫を保有している人の割合が他の年代に比べ低いと言われています。
お子さんと同時期に、親もワクチン接種することが勧められています。
しかしながら、朝霞地区では大人を接種している医療機関が多くありませんし、自費になります。
極めてまれで、年間に何人も発症するわけではありませんので、神経質になりませんように。
(日本では約800万回の接種で1人)
オムツ換えの後等に、十分な手洗いで対応します。
Q3 先ほどのはしか、水ぼうそう等のお話ですが、親側での予防法があれば教えてください。
(子供の頃に予防接種はうっています)
A3
★お答えするのを忘れてしまったかもしれません。大変失礼いたしました。
はしか(麻疹)ワクチンは、以前は1回接種となっていました。
接種後効き目は徐々に落ち、20年くらいたつと、弱くなってしまうケースがあることが分かってきました。
最近では、接種していたにもかかわらず、はしかにかかる大学生が話題になりました。
その後、平成18年より、2回接種することとなりました。(現在は麻疹風疹の2種混合ワクチンとなっています)
はしかにかかったことのない大人は、確かにもう一度接種すると安心です。
しかしながら、検査をすると免疫が十分の人も多いと思われます。
大人は子供や学生に比べ集団生活をすることは少ないため、感染のチャンスは少ないかもしれません。
まず、子供さんがしっかりワクチンを受けることで、家庭に持ち込まないようブロックすることが大切です。
水ぼうそうも考え方は同様ですが、日本では自費のため1回接種のケースがほとんどです。
水ぼうそうは集団生活の中で接触の機会がまだ多い感染症です。
ワクチン接種している人は、接触のたびに免疫が想いおこされて、効き目が長持ちする可能性があります。
2回接種は理想ですが・・・自費ですので。
Q4 小児ぜんそくについて。
親から遺伝するものですか?
また、発症する場合、何才頃からですか?
A4
喘息、アトピー、じんましん、アレルギー性鼻炎結膜炎、花粉症などのアレルギー疾患は、遺伝子によるものです。
子供の発症は、両親にアレルギーがあると6割で、片親にあると3割、両親ともなしで1割といわれています。
強い咳や喘鳴(ゼーゼーすること)を何度か繰り返して診断されます。
お子さんの場合は、カゼに伴って発症することがほとんどです。
6か月くらいから疑われるケースが出てきます。
Q5 風邪の症状(鼻水)が出ている時、耳鼻科の受診でもいいですか?
A5
大丈夫です。
耳鼻科さんと小児科のみている病気は、重複する部分がかなり大きいようです。
耳鼻科さんにも小さなお子さんはたくさん受診しています。
色のついた鼻水が長びいたり、中耳炎をおこしやすい子は、耳鼻科さんの受診がおすすめです。
一方、鼻水以外の症状が強い場合、咳が強い、熱が続く、具合が悪いなどのケースは、小児科がおすすめです。
上手に使い分けてください。
Q6 ねむり始めにピクピク手や頭を動かすのはけいれんですか。
A6
よく観察されます。
けいれんでないケースがほとんどです。
けいれんとの区別は、意識のあるなし、意識状態の悪さ、顔色の悪さで判断します。
寝ていると意識の状態はわかりませんので、起こして確認します。
意識があり、お母さんと目が合えば、ひきつけではありません。
泣いてくれれば、それだけで大丈夫です。
かわいそうですけれど、病気の見逃しの方がもっとかわいそうになります。
何度か確認しておけばよいことです。
Q7 夏に呼吸がゼーゼーというかフェーフェーしていた。
ぜんそくなのか、クーラー等の乾燥なのか。
A7
喘息は強い咳や、喘鳴を繰り返すことで診断に至ります。
カゼに伴って発症することがほとんどですが、冷たい空気を吸い込んで急に始まる場合もあります。
お子さんの場合、喘息か判断がつきにくいのですが、症状が出た時にかかりつけを受診してみてください。
Q8 湿疹が長引いていますが、受診は必要ですか?
A8
赤ちゃんは肌がデリケートで、よだれやミルクかす、汗などが残って刺激となり湿疹ができます。
ですので、必ず湿疹は繰り返しますし、しばらくの間はお付き合いです。
清潔を心掛けて対応しますが、個人差があり、中には程度が強くなる場合があります。
汁が出てジュクジュクしている、真っ赤に腫れる、痒くてしょうがない場合などは、治療の対象です。
繰り返すお子さんは、指導を受けることも重要です。
皮膚科、小児科、内科小児科などを受診してみてください。
Q9 食物アレルギーについて。
発疹であれば分かりやすいのですが、その他の症状は?
特に分かりにくい症状などありますか?
A9
じんましんは、蚊に刺されたような赤みがプツッと出て、かゆみがあるのが特徴です。
大小様々で、少し膨れて厚みを持ったり、中央が白っぽくなることもあります。
重症になるにつれ、数が増え、広がり、融合して地図状になったりします。
まぶたや唇がパンパンに腫れることもあります。
原因となる食べ物を体が受け付けず、吐いたり下痢したりすることもあります。
最重症で救急受診が必要になるケースもあります。
気管支も腫れて、咳が強くなり、ゼーゼーヒューヒューして、喘息のように呼吸が苦しくなる場合。
血圧が下がり、ショック状態となって、ぐったりする場合です。
Q10 母が熱を出している時に、母乳は与えてもいいですか?
A10
母乳でカゼがうつることは心配しません。
むしろ接触する時間が長いことが、感染の大きな要素となります。
手洗い、マスクなどをしていても、うつさないで済ますことは、なかなか難しいと思われます重症な病気でないのなら、仕方なしと考えます。
母乳が中心のお子さんにとっては、母乳を与えないことの方が問題かもしれません。
Q11 とても元気ですが便だけがゆるく、下痢です。
病院に行った方がよいのでしょうか?
A11
下痢は、お腹のカゼや、合わないものを食べた時などにしばしば認められます。
吐いたり熱がある場合は、脱水をおこしやすくなるので注意します。
多量の水様便が何度も何度も出て、よだれが止まり、ぐったりする場合も要注意です。
一方、下痢はしているが元気で、水分や食事が普通に取れているケースも、とても多く見かけます。
あわてて病院に行く必要はありませんし、様子を見ても構いません。
赤ちゃんの下痢は2~3週間と長びく場合が多く、この場合は受診して、指導を受けるのもおすすめです。
Q12 うつぶせで寝るのがくせになっているが、長時間のうつぶせの時はあおむけに戻したほうがいいか。
A12
仰向けにしても、また、勝手にうつぶせになっているのではないでしょうか。
うつぶせ寝と突然死のことが気になるかと思います。
自分で首が自由に動かせるような月齢になってくると、顔が埋もれて窒息する危険は少なくなるでしょう。
一番のポイントは、必ず誰かがそばにいることです。
日本では昔から母親が添い寝をして、赤ちゃんをそばにおいて眠る習慣がありました。
お母さんは寝ていても赤ちゃんの異常に気付くため、突然死が少なかったという考え方があります。
現代は欧米化が進み、赤ちゃんが誰もいない部屋で寝ていることが多いため、発見が遅れるようです。
手間をおしまないこと、放っておかないことが、事故の危険の減らせるよい例だと思います。
Q13 普段の時の熱が低いことがある(36.0~36.3℃くらい)
心配なものでしょうか?
A13
★お答えするのを忘れてしまったかもしれません。大変失礼いたしました。
1歳くらいの赤ちゃんの平熱は37℃前後です。
まず、赤ちゃんにさわって冷たくないかを確認する必要があります。
次に、きちんと体温が測れているか、検温の仕方が正しいかを確認する必要があります。
脇の下が汗ばんだ状態では体温計は上がりません。まず、汗を拭きましょう。
また、はさむ位置が正しくなければ、体温計は上がりません。
できるだけ深部体温に近いものを測ります。
脇の下のくぼみの中央部分に体温計をさすように当て、しっかり脇をしめて測ります。
腕と体の間にはさむだけでは、きちんと測れません。
それでも変わらない場合は、さわっても冷たくない、手足も冷たくない、元気が良いなら、心配ありません。
Q14 この月齢からプールに入れるのは、感染症等にかかりやすくなるか。
(この月齢の子供をプールに入れると、感染症等にかかりやすいか?)
A14
元気が良いからと、お腹のカゼが治っていない、下痢の赤ちゃんを連れてくる家族はいくらでもいそうな時代です。
赤ちゃんにプールの水を飲むなと言っても、飲まないでいることは難しいと思われます。
プールは消毒液で感染症を防いでいるはずですが、効果が確実な場合だけ安全ということになります。
ノロウイルスなどは院内感染さえも防ぐのが難しいものですので、十分覚悟の上でということになります。
Q15 転んだときなど、頭をぶつけた時の対応
(冷やすなど たんこぶができたら大丈夫?)
A15
頭を打った時、どの程度の観察が必要ですか?(お医者さんにかかる目安)
座った姿勢から倒れて後頭部を床に強く打ったことがありました。
その後元気だったので受診しなかったですが、対応方法はありますか?
受診した方がいい場合のポイントは?
外側のたんこぶは、大問題になりません。
頭の中で起きていることが問題になります。
打った直後に意識の状態が悪ければ救急へ。
高いところから硬いところに落ちたときもCTが取れる病院の受診がおすすめです。
打った直後が大丈夫でも、頭蓋内で細い静脈が切れ、ジワジワ出血し、2日から7日して症状が出てくるケースもあるので注意します。
意識状態が悪くなり、うつらうつらして寝てばかり、よく吐くようになる、運動障害が出て、できていたことができなくなる。
疑わしい症状がある場合は、CTの取れる病院を受診します。
打ち所について。
3階から転落しても無事な赤ちゃんがいるかと思えば、診察台から落ちても頭の骨を骨折しているケースもあます。
まったく打ち所に左右されます。
打つ回数。
多ければ多いほどトラブルが起きるリスクが上がりますから、少ないほうが良いに決まっています。
打ち方。
硬いところに落ちる、角のあるものにぶつかる、勢い良く打つなどは危険なパターンです。
特に歩き始めの時期は、赤ちゃんの目線で家の中を見直し、危険な打ち方を避けていくことを意識します。
ひっくり返って転んで頭を打っても、危険性の少ない柔らかい床材。
家具の角を保護する等、ぶつかっても危険の少ない環境。
また、家の外では想定外の危険が多いことを意識して、目をはなさない。
赤ちゃんは高いところに寝かせば、必ず転がって落ちるのです。
とがった角があれば、必ずぶつかりに行きます。
意識をするか否かでだいぶ事故は防げます。
Q16 先日紙やおもちゃのゴムを少量食べてしまった様子。
ちゃんと消化されて出てくるのか。
のどにつまらないか。
A16
人はゴム、紙、プラスチック、金属などは消化できず、吸収もできません。
のどから食道、胃に落ちれば、うんちに出るのを待つだけです。
1日から2日の間に排泄されますので、確認してください。
のどに詰まると、違和感が強いため、不機嫌になったり、食べられなくなるでしょう。
気管に詰まると、咳が止まらなくなったり、呼吸困難になり、大問題になります。
タバコや、化粧品、洗剤、薬などは、吸収されるので、とても危険です。
赤ちゃんは手に持てばウンチでも食べます。
手の届くところに置いたら負け、手に持たせたら負けです。
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